土井 徹(H2,1B)

 前回の第3回OB演奏会の行われた4年前,即ち1986年 9月,私は一観客として客席の中にいました。当時私は合唱団とは縁のない,‘ただの’大学1年生でした。

 思えばこれが,私の北大合唱団との初めての接触であり,この演奏会がきっかけとなって,私は北大合唱団に入団したのでした。事実,この演奏会の1カ月余り後の10月末に正式に入団することになったのです。

 従って,私が自分と北大合唱団とのことを語るとき,この第3回OB演奏会を抜きにして語ることはできないのです。

 その日,客席で私は初めて,ただただ鳥肌がたつ,という感覚を味わいました。全くの素人だったため,演奏内容までは覚えていないのですが,その感覚は鮮明に覚えています。入団して以降の3年半の間,常にその感覚を追い求めていたし,また実際に何度も味わうことが出来た,と思っています。

 また,もう一つ印象的だったのは,非常に幅広い年代の人達が集まっていた,ということでした。そこに北大合唱団の伝統というものを感じるとともに,年代を超えて,この男達の心を把えて離さない,合唱というものに,興味を覚えたのも事実です。

 身体さえあれば,またある程度人数がいれば,というその手軽さのために,私も気楽に始められたし,男声合唱の魅力というか魔力に,深くのめり込んでいったのです。

 今回のこの演奏会にも,4年前に私が味わった様な感覚を味わう人が現れるのでしょうか。

(第4回OB演奏会プログラムより転載)

←前のエッセイを読む第4回の演奏曲目↑次のエッセイを読む→